Q&A 出産のときの医療ミスでは、産婦人科医に過失があったのか、なかったのか妊婦さんやご家族には判断できないことが多いです。お子さんが脳性麻痺になってしまうと産婦人科医を訴えたい、と思われるお気持ちは当然ですが、裁判は長くかかり勝てるかどうかわかりません。そのため重度脳性麻痺のお子さんとその家族の経済的負担を補償して、脳性麻痺発症の原因分析も行って再発防止を図るため産科医療補償制度が作られました。...
判例・Q&A
Q お腹の中で死んでしまった赤ちゃんの賠償金
Q&A 出産のときの医療ミスで赤ちゃんが死産になってしまった場合、生まれて脳性麻痺が残った場合と比べて、医療ミスの程度としてはひどいのに、賠償金が少額になり数100~1000万円までの賠償額になってしまうことが多いといわれています。法律(民法)では、お腹の中の赤ちゃんは、まだ正式な「人」ではなくお母さんの体の一部と考えられているからです。...
Q 産科医療補償制度は国の制度ではないの?
Q&A 出産のときの医療ミスでは、産婦人科医に過失があったのか、なかったのか妊婦さんやご家族には判断できないことが多く、弁護士が相談を受けることになります。お子さんが脳性麻痺になってしまうと産婦人科医を訴えたい、と思われるお気持ちは当然です。しかし弁護士に相談しても裁判は長くかかり、勝てるかどうかもやってみなければわからないところがあります。そのため重度脳性麻痺のお子さんとその家族の経済的負担を補償して、脳性麻痺発症の原因分析も行って再発防止を図るため産科医療補償制度が作られました。...
Q 産婦人科の医療ミスで注意するべき示談契約の文言(もんごん)
Q&A 産科医療補償制度を受け取っていた場合の示談(和解)の記載内容は、他の交通事故や医療ミスのケースとは違った配慮が必要です。「産科医療補償責任保険」という保険では、補償金と病院からの賠償金が二重に支払われないような決まりが標準補償約款や加入規約によって定められているからです。...
Q 産婦人科の医療ミスで、産婦人科を訴えたいと思った時、どんな弁護士を探せばよいのか?
Q&A 産婦人科の医療ミスではないか、と思った時に産婦人科医を訴えたい、と考えて弁護士を探し始めるご両親が多いです。そんな時、医療ミスが専門だと謳う弁護士事務所の実力は、どんなところで判断すればよいでしょうか? ①「さ」産科診療ガイドラインの内容を正確に理解しているかどうか。...
Q 陣痛が痛すぎる(過強陣痛)って?
Q&A お産の途中で急に子宮の収縮が強くなりすぎることを「過強陣痛」といいます。陣痛の開始とは「子宮の収縮による規則的な腹痛が10分以内の間隔で繰り返しおこること」と定義されています。だんだんお腹の張りが強くなり、張る間隔が短くなり、10分ごとになったところで陣痛が来た、ということになります。...
Q 出産の後、血が止まらない(弛緩出血)って?
Q&A 出産時に限界まで大きくなった子宮は産後、急速に縮んでいきます。しかし子宮の収縮が順調にいかずに子宮壁の胎盤剥離面の血管が開いたまま多量に出血してしまうのが弛緩出血です。通常は出血量が500ml以上を弛緩出血といいます。60㎏の人間の体に血液は12%(5L:5000ml)程度流れています。40㎏の人なら4.8L:4800mlです。500mlの出血というのは、体の1/10以上の血液が出て行ったことになります。...
判例 分娩後の異常出血ないし産科危機的出血の状態に陥った患者に対する対応を誤って死亡させたとして損害賠償を求めた事例
判例 ①事案の概要 里帰り出産を希望し妊娠20週以降、クリニックに通院していた35歳妊婦さんが、妊娠38週5日に軽度の妊娠高血圧症候群と診断されその2日後に同クリニックに入院し、さらにその2日後に帝王切開術にて出産されたが、出産後の危機的出血があったにもかかわらず医師の患者さんに対する誤った対応と高次医療機関への救急搬送の遅れにより、出産翌日に死亡された事案です。 ②判決...
判例 常位胎盤早期剥離(の疑い)との診断が遅れて胎児が死亡し、母体も重体に陥ったとして1,409万7,560円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要...
判例 陣痛促進剤の慎重投与義務および急速遂娩の実施義務に違反したことにより、新生児に障害が残ったとして1億4201万3613円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要 妊婦さんは午前7時頃に陣痛が始まり9時30分頃クリニックに入院しました。分娩が進まず、強い痛みを訴え続けていたため、医師は21時20分頃、硬膜外麻酔(無痛分娩)を開始し、21時30分頃、陣痛促進剤アトニンの投与を始めました。その後、胎児心拍数が低下したので、医師は翌日午前1時50分~4時まで酸素投与をしました。妊婦さんは午前5時10分に排臨し、午前6時30分に発露が認められ、午前8時3分に男児を自然分娩により出産しました。...
判例 不適切な分娩管理や不適切な蘇生措置により仮死状態で出生した新生児が低酸素脳症から死亡したとして440万円の慰謝料が認められた事例
判例 ①事案の概要 腹部の痛みを感じて出産間近と考えた妊婦さんは妊娠41週であった8月24日6時50分にクリニックに入院し、医師から子宮口の開き具合からまだ時間がかかるとのことで陣痛室で待機するよう指示されました。15時30分頃の内診で助産師からも生まれるのは午後10時頃になると告げられました。...
判例 適応を欠くにもかかわらず吸引・鉗子分娩などを行った過失から児が帽状腱膜下血腫となり死亡したとして5,428万5,373円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要 初めての妊娠38週1日で自然破水した妊婦さんは4時45分にクリニックを受診し、医師が診察、子宮口開大度は1cmで、陣痛誘発のために子宮口からバルーン(子宮の入り口を広げるための器具)が挿入されました。妊婦さんは無痛分娩は希望しないと助産師に伝えていましたが、かなり陣痛が強くなっていたので、医師から無痛分娩に切り替えるかの問いに対して、無痛分娩に変更することにし、医師は硬膜外麻酔をしました。...
判例 陣痛促進剤の投与などの判断を誤った結果、出生した児に重度の障害が残ったとして、約1億3267万円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要...
Q 陣痛誘発って?
Q&A 陣痛誘発とは、自然に陣痛が来る前に子宮収縮剤などを用いて、人工的に陣痛を開始させることで、分娩誘発ともいいます。自然の陣痛が弱いために、分娩の進行が停滞するときにも子宮収縮剤を使用し、この場合は分娩促進といいます。陣痛誘発は、経膣分娩が可能であり、陣痛が順調に来ないない場合に、人工的に陣痛を起して分娩を誘発することです。...
Q 常位胎盤早期剥離って?
Q&A 常位胎盤早期剥離とは赤ちゃんが分娩される前に胎盤が剥がれてしまう状態をいいます。胎盤は子宮の内側にある、赤ちゃんに栄養や酸素を届ける役割を持った部分で、赤ちゃんの発育に必要不可欠なものです。普通は赤ちゃんの分娩後15~30分で子宮の壁から自然に剥がれて外に排出されます。これを後産(あとざん)いい、その言葉からも分かるように、通常は赤ちゃんが娩出されたあとに剥がれ落ちます。...
Q 産科ショックって?
Q&A 産科ショックとは、妊娠中や分娩時に産科の疾患によって起きたショック状態のことです。ショック状態というのは、急性の全身循環障害が起こり、重要臓器の血流が維持できなくなり、組織や臓器が機能低下に陥った状態で、症状としては、蒼白、冷汗、血流低下などがみられます。...
Q 急速遂娩(きゅうそくついべん)って?
Q&A 急速遂娩とは、吸引分娩・鉗子分娩または緊急帝王切開のことです。 妊娠中または分娩経過中にお母さんや赤ちゃんに生命の危険や回復不可能なほどのダメージを残す可能性があるような異常事態が発生した時や発生すると予測されるような場合に直ちに胎児を娩出し、短時間で分娩を終了させることをいいます。これによってお母さんと赤ちゃんの命を救命し、ダメージを治療することを目的とした緊急回避手段のことをいいます。...
Q 逆子の外回転術って安全?
Q&A お腹の中で胎児の頭が上にある状態のことを逆子といいます。通常であれば、赤ちゃんは頭から産道を通り抜けるため、頭は子宮口のある下を向いた状態になりますが、逆子の場合は足やお尻が子宮口の方を向いています。逆子の状態で分娩に至りますと、赤ちゃんのお尻や足が卵膜とうまく密着していないため、赤ちゃんがまだ降りてきていない状態で破水(前期破水)してしまうことや、破水時に赤ちゃんより先にへその緒が膣内に出てしまう恐れがあるなど、様々なリスクがあります。...
Q 逆子といわれたら?
Q&A ...
Q メトロイリンテルって?
Q&A 出産予定日を過ぎてもなかなかお産が始まらなかったり、出産予定日を決めて分娩を行ったりする場合、人工的に陣痛を起こして分娩に繋げて行きます。こうした分娩方法を誘発分娩といい、誘発分娩には様々な処置がありますが、その一つにバルーン(風船)を入れて子宮口を開く方法があります。そのとき用いられる医療器具がメトロイリンテルと呼ばれるものです。...
Q HELLP(ヘルプ)症候群って?
Q&A 妊娠後期になりやすい病気のひとつとしてHELLP(ヘルプ)症候群があります。HELLP症候群とは「溶血(Hemolysis)」「肝酵素の上昇(Elevated Liver enzyme)」 「血小板の減少(Low Platelet)の3つ特徴を持つ病気が生じる状態で、その3つの特徴の頭文字からつけられた名前です。...
Q 赤ちゃんが大きすぎる(巨大児)といわれたら?
Q&A 巨大児とは、見た目には異常がなく、また生まれたときの週数にも関係なく、出生体重が4,000g以上の赤ちゃんのことをいいます(4,500g以上の場合は超巨大児といいます)。...
Q 子宮筋腫がある妊娠は大丈夫?
Q&A 子宮筋腫は生殖年齢の女性の20~30%程度にみられる婦人科腫瘍の中でもっとも多い病態です。最近では超音波検査(エコー検査)の機械精度もあがっており、小さなものでも発見できるようになってきたため、もっとたくさんの患者がいるのではないかと考えられています。子宮筋腫とは、子宮を構成する平滑筋という筋肉の細胞が、異常増殖してできる筋肉の塊で、良性の腫瘤のことです。...
Q 赤ちゃんの通り道を広げる(頸管熟化処置)って?
Q&A 計画分娩を行う際に、赤ちゃんの通り道を人工的に広げる子宮頚管熟化処置が行われることがあります。計画分娩では入院する当日、内診を行った後、子宮口を広げるための処置としてラミナリア(海草でできている細長い綿棒のようなもの)や、メトロイリンテル(バルーン(風船)を入れて子宮口を開くもの)等の器具あります。 メトロイリンテルを最初から使用することもありますし、ラミナリア(乾燥した海藻でできた棒のような器具)や、ダイラパン(親水性ポリマーという人工素材)をまず挿入して子宮口を開く手順をとるところもあります。...
Q 無痛分娩は安全?
Q&A 無痛分娩とは、激痛といわれるお産の痛みをやわらげながら分娩をする出産方法です。 日本以外の先進諸国では一般的に行われている方法ですが、日本では出産に占める割合は2016年時点で5.3%(日本産婦人科医会)にすぎません。...
Q 無痛分娩ってどういうもの?
Q&A 無痛分娩とは激痛といわれるお産の痛みを、麻酔薬を使って軽減させ、出産をサポートする分娩方法です。お産の痛みは個人差がありますが、骨折の痛みなどよりも痛みは強いといわれます。この大きな痛みをやわらげ、妊婦さんの負担を軽くすることを目的に無痛分娩は行われます。無痛分娩では硬膜外麻酔が一般的に用いられますが、点滴や、ガスが用いられることもあります。...
Q 分娩誘発って?
Q&A まだ陣痛が来ない妊婦さんに、早くお産が来るように、陣痛促進剤などを使って、人工的に陣痛がない状態から分娩へと誘導することを「分娩誘発」といいます。...
Q 分娩のときの大量出血とは?
Q&A 「分娩時大量出血」とは産後24時間以内の出血量が経腟分娩では500㎖以上、帝王切開では1000㎖以上の場合、もしくは持続する100bpm(通常心拍リズム)以上の頻脈、SI(ショック指数)が≧1.0の場合をいいます。60kgの大人で血液は12%(5000ml)といわれていますので、1/10以上の出血があった場合が問題になります。...
Q 吸引分娩って?
Q&A 吸引分娩とは出産のときに赤ちゃんの頭に柔らかなカップを吸い当てて赤ちゃんを娩出する出産方法です。吸引分娩には、吸引カップという器具を用いますが、吸引カップには、金属製のカップとプラスチック製のソフトカップの2種類があり、それぞれに様々なサイズがあります。状況によってどのカップにするのかを医師が決め、これにチューブと吸引機を接続して使用します。現在の日本では、ソフトカップを使っているところがほとんどです。...
Q 児頭骨盤不均衡(CPD)ってどういう状態?
Q&A 赤ちゃんの頭の大きさに比べてお母さんの骨盤が小さく狭いため通過できないことをいいます。 赤ちゃんの頭は出産時には一時に変化します。これを応形機能といい、一般に児頭は骨盤軸の方向に延長し、これと直角の方向に短縮します。このような児頭の変形は、児頭の頭蓋骨の化骨が未完成で軟らかく骨縫合も離解して、各頭蓋骨が互いに移動し重なりあって、骨重積を形成するためです。出産時には赤ちゃんの頭が重なり合って小さくなるということです。...
Q ノンストレステスト(NST)って?
Q&A ノンストレステスト(NST)とは陣痛などのストレスがない状態で行われる赤ちゃんの状態をみる検査のことです。妊娠後期になるとおなかに分娩監視装置をつけてストレスのない状態でおなかの中の赤ちゃんの様子を確認し、お母さんが出産を迎える準備ができているかどうかを見極める検査です。検査を行う時期は医療機関によって異なりますが、概ね妊娠36週以降に行われます。またこの検査はすべての妊婦さんが受けるものではなく、病院の方針や、過期妊娠、ハイリスク妊娠の場合など、医師の判断によって実施するかが決定されます。...
Q コントラクションテスト(CST)って?
Q&A コントラクション・ストレステスト(CST)はノンストレステスト(NST)で胎児状態が良好であると確認できなかった場合の追加検査として行われる検査です。子宮収縮剤を投与して陣痛を再現し、赤ちゃんの心拍数を観察して出産時に耐えられるかどうかを確認しる検査(収縮ストレステスト)です。...
Q 陣痛促進剤・アトニン—O®(オキシトシン)が必要だといわれたら?
Q&A オキシトシン製剤のアトニン—O®は、子宮の収縮を起こすための薬剤です。そのため、思ったように陣痛が起こらない場合や、陣痛は始まったが弱い場合(微弱陣痛)、様々な理由で陣痛が始まっていない時に人工的に陣痛を起こす必要がある場合などに、点滴することで陣痛を起こしたり、強くしたりする目的で使われます。適切に使えばお母さんにも、赤ちゃんにもメリットがあり、出産時に使われる重要な薬剤です。...
Q 分娩監視装置モニターはどのくらい巻きつけておく必要があるの?(ガイドラインCQ 「分娩監視の方法は?」)
Q&A 分娩の際には、分娩監視装置という、お母さんのお腹にマジックベルトで巻きつける装置をつけて、お腹の中にいる赤ちゃんの心拍数の変化を観察します。赤ちゃんの心拍数の変化を、陣痛の周期とともに観察して、胎児心拍数陣痛図(CTG)といわれるグラフで赤ちゃんが元気なのか、元気でないのか、苦しい状態なのかが推測できると考えられています。 分娩監視装置は、陣痛が始まって入院したとき(10分間隔になったころ:分娩第一期)に20分以上装着して、赤ちゃんの状態が正常であることを確認する必要があるといわれています。...
Q 陣痛促進剤 アトニンーO(オキシトシン)の合併症は?
Q&A アトニン-O(オキシトシン)は、子宮収縮薬といわれる薬の一つです。子宮の筋肉に作用して子宮を収縮させることにより、分娩を誘発したり、子宮の出血を止めたりする作用があります。 しかし、人工的に子宮を収縮する作用がある一方、子宮の収縮が強くなりすぎることなどの副作用・合併症が起こることがあります。...
Q アトニン―O®(オキシトシン)って?
Q&A アトニン―O®(オキシトシン)は、子宮を収縮する効果がある薬剤です。 この薬は、子宮の筋肉に作用して子宮を収縮させることにより、分娩を誘発したり子宮の出血を止めたりします。...