Q&A 出産時に限界まで大きくなった子宮は産後、急速に縮んでいきます。しかし子宮の収縮が順調にいかずに子宮壁の胎盤剥離面の血管が開いたまま多量に出血してしまうのが弛緩出血です。通常は出血量が500ml以上を弛緩出血といいます。60㎏の人間の体に血液は12%(5L:5000ml)程度流れています。40㎏の人なら4.8L:4800mlです。500mlの出血というのは、体の1/10以上の血液が出て行ったことになります。...
判例・Q&A
判例 分娩後の異常出血ないし産科危機的出血の状態に陥った患者に対する対応を誤って死亡させたとして損害賠償を求めた事例
判例 ①事案の概要 里帰り出産を希望し妊娠20週以降、クリニックに通院していた35歳妊婦さんが、妊娠38週5日に軽度の妊娠高血圧症候群と診断されその2日後に同クリニックに入院し、さらにその2日後に帝王切開術にて出産されたが、出産後の危機的出血があったにもかかわらず医師の患者さんに対する誤った対応と高次医療機関への救急搬送の遅れにより、出産翌日に死亡された事案です。 ②判決...
判例 常位胎盤早期剥離(の疑い)との診断が遅れて胎児が死亡し、母体も重体に陥ったとして1,409万7,560円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要...
判例 適応を欠くにもかかわらず吸引・鉗子分娩などを行った過失から児が帽状腱膜下血腫となり死亡したとして5,428万5,373円の損害賠償が認められた事例
判例 ①事案の概要 初めての妊娠38週1日で自然破水した妊婦さんは4時45分にクリニックを受診し、医師が診察、子宮口開大度は1cmで、陣痛誘発のために子宮口からバルーン(子宮の入り口を広げるための器具)が挿入されました。妊婦さんは無痛分娩は希望しないと助産師に伝えていましたが、かなり陣痛が強くなっていたので、医師から無痛分娩に切り替えるかの問いに対して、無痛分娩に変更することにし、医師は硬膜外麻酔をしました。...
Q 常位胎盤早期剥離って?
Q&A 常位胎盤早期剥離とは赤ちゃんが分娩される前に胎盤が剥がれてしまう状態をいいます。胎盤は子宮の内側にある、赤ちゃんに栄養や酸素を届ける役割を持った部分で、赤ちゃんの発育に必要不可欠なものです。普通は赤ちゃんの分娩後15~30分で子宮の壁から自然に剥がれて外に排出されます。これを後産(あとざん)いい、その言葉からも分かるように、通常は赤ちゃんが娩出されたあとに剥がれ落ちます。...
Q 産科ショックって?
Q&A 産科ショックとは、妊娠中や分娩時に産科の疾患によって起きたショック状態のことです。ショック状態というのは、急性の全身循環障害が起こり、重要臓器の血流が維持できなくなり、組織や臓器が機能低下に陥った状態で、症状としては、蒼白、冷汗、血流低下などがみられます。...
Q 分娩のときの大量出血とは?
Q&A 「分娩時大量出血」とは産後24時間以内の出血量が経腟分娩では500㎖以上、帝王切開では1000㎖以上の場合、もしくは持続する100bpm(通常心拍リズム)以上の頻脈、SI(ショック指数)が≧1.0の場合をいいます。60kgの大人で血液は12%(5000ml)といわれていますので、1/10以上の出血があった場合が問題になります。...
Q K2シロップはなぜ飲ませる必要があるの?
Q&A ケイツーシロップ(ビタミンK2シロップ剤)は赤ちゃんに起こりやすい出血を防ぐためのお薬です。 血管が傷ついたとき時、出血を止めるためには、血液を固めるために必要な物質である「ビタミンK」が不可欠です。大人は大腸の中にいる腸内細菌が作ったビタミンKが利用されるので、ビタミンK欠乏症になることはめったにありません。...