判例 宮崎地裁判決 平成30年9月12日 ①概要 妊婦であるAが子を帝王切開術で出産しましたが、術後に深部静脈血栓症を発症し、その症状が見落とされ、その結果生じた肺血栓塞栓症により死亡した事案です。 裁判では医師による鑑定が行われ、術後3日目に左下肢の浮腫が確認できた時点で深部静脈血栓症を疑うべきであるという意見が出されました。また深部静脈血栓症の症状として、浮腫・腫脹、疼痛、熱感・色調変更などがありますが、そのうち浮腫・腫脹の症状だけでも深部静脈血栓症を疑うべきという意見も出されました。...
判例・Q&A
判例 分娩後の異常出血ないし産科危機的出血の状態に陥った患者に対する対応を誤って死亡させたとして損害賠償を求めた事例
判例 ①事案の概要 里帰り出産を希望し妊娠20週以降、クリニックに通院していた35歳妊婦さんが、妊娠38週5日に軽度の妊娠高血圧症候群と診断されその2日後に同クリニックに入院し、さらにその2日後に帝王切開術にて出産されたが、出産後の危機的出血があったにもかかわらず医師の患者さんに対する誤った対応と高次医療機関への救急搬送の遅れにより、出産翌日に死亡された事案です。 ②判決...
Q 陣痛誘発って?
Q&A 陣痛誘発とは、自然に陣痛が来る前に子宮収縮剤などを用いて、人工的に陣痛を開始させることで、分娩誘発ともいいます。自然の陣痛が弱いために、分娩の進行が停滞するときにも子宮収縮剤を使用し、この場合は分娩促進といいます。陣痛誘発は、経膣分娩が可能であり、陣痛が順調に来ないない場合に、人工的に陣痛を起して分娩を誘発することです。...
Q 常位胎盤早期剥離って?
Q&A 常位胎盤早期剥離とは赤ちゃんが分娩される前に胎盤が剥がれてしまう状態をいいます。胎盤は子宮の内側にある、赤ちゃんに栄養や酸素を届ける役割を持った部分で、赤ちゃんの発育に必要不可欠なものです。普通は赤ちゃんの分娩後15~30分で子宮の壁から自然に剥がれて外に排出されます。これを後産(あとざん)いい、その言葉からも分かるように、通常は赤ちゃんが娩出されたあとに剥がれ落ちます。...
Q 産科ショックって?
Q&A 産科ショックとは、妊娠中や分娩時に産科の疾患によって起きたショック状態のことです。ショック状態というのは、急性の全身循環障害が起こり、重要臓器の血流が維持できなくなり、組織や臓器が機能低下に陥った状態で、症状としては、蒼白、冷汗、血流低下などがみられます。...
Q メトロイリンテルって?
Q&A 出産予定日を過ぎてもなかなかお産が始まらなかったり、出産予定日を決めて分娩を行ったりする場合、人工的に陣痛を起こして分娩に繋げて行きます。こうした分娩方法を誘発分娩といい、誘発分娩には様々な処置がありますが、その一つにバルーン(風船)を入れて子宮口を開く方法があります。そのとき用いられる医療器具がメトロイリンテルと呼ばれるものです。...
Q お母さんが栄養過多(肥満)になると危険?
Q&A 一般に妊婦さんは安定期に入りつわりが落ち着くと、食欲が増してつい食べ過ぎてしまい、体重が増加してしまう傾向があります。おなかの中にいる赤ちゃんへ十分な栄養を届けるためにも大切な食事ですが、一方で急激な体重増加はお母さん・赤ちゃんの双方への身体機能に影響を及ぼす可能性が高くなります。...
Q HELLP(ヘルプ)症候群って?
Q&A 妊娠後期になりやすい病気のひとつとしてHELLP(ヘルプ)症候群があります。HELLP症候群とは「溶血(Hemolysis)」「肝酵素の上昇(Elevated Liver enzyme)」 「血小板の減少(Low Platelet)の3つ特徴を持つ病気が生じる状態で、その3つの特徴の頭文字からつけられた名前です。...
Q 甲状腺に問題があるといわれたら?
Q&A 甲状腺の病気は女性に多く、妊婦さんでも赤ちゃんに影響を生じることから問題になります。症状や所見には表れない程度の軽い甲状腺ホルモン不足の状態を「潜在性甲状腺機能異常」といいますが、健康な人の3.3%~6.1%に潜在性甲状腺機能低下症が、0.8~2.3%に潜在性甲状腺中毒症が認められるといわれています。いずれも、女性に多く、年齢が上がるにつれて増加します。自覚症状はないことがほとんどです。...
Q 赤ちゃんの通り道を広げる(頸管熟化処置)って?
Q&A 計画分娩を行う際に、赤ちゃんの通り道を人工的に広げる子宮頚管熟化処置が行われることがあります。計画分娩では入院する当日、内診を行った後、子宮口を広げるための処置としてラミナリア(海草でできている細長い綿棒のようなもの)や、メトロイリンテル(バルーン(風船)を入れて子宮口を開くもの)等の器具あります。 メトロイリンテルを最初から使用することもありますし、ラミナリア(乾燥した海藻でできた棒のような器具)や、ダイラパン(親水性ポリマーという人工素材)をまず挿入して子宮口を開く手順をとるところもあります。...
Q 無痛分娩は安全?
Q&A 無痛分娩とは、激痛といわれるお産の痛みをやわらげながら分娩をする出産方法です。 日本以外の先進諸国では一般的に行われている方法ですが、日本では出産に占める割合は2016年時点で5.3%(日本産婦人科医会)にすぎません。...
Q 分娩誘発って?
Q&A まだ陣痛が来ない妊婦さんに、早くお産が来るように、陣痛促進剤などを使って、人工的に陣痛がない状態から分娩へと誘導することを「分娩誘発」といいます。...
Q 分娩のときの大量出血とは?
Q&A 「分娩時大量出血」とは産後24時間以内の出血量が経腟分娩では500㎖以上、帝王切開では1000㎖以上の場合、もしくは持続する100bpm(通常心拍リズム)以上の頻脈、SI(ショック指数)が≧1.0の場合をいいます。60kgの大人で血液は12%(5000ml)といわれていますので、1/10以上の出血があった場合が問題になります。...
Q 陣痛促進剤・アトニン—O®(オキシトシン)が必要だといわれたら?
Q&A オキシトシン製剤のアトニン—O®は、子宮の収縮を起こすための薬剤です。そのため、思ったように陣痛が起こらない場合や、陣痛は始まったが弱い場合(微弱陣痛)、様々な理由で陣痛が始まっていない時に人工的に陣痛を起こす必要がある場合などに、点滴することで陣痛を起こしたり、強くしたりする目的で使われます。適切に使えばお母さんにも、赤ちゃんにもメリットがあり、出産時に使われる重要な薬剤です。...
Q 陣痛促進剤 アトニンーO(オキシトシン)の合併症は?
Q&A アトニン-O(オキシトシン)は、子宮収縮薬といわれる薬の一つです。子宮の筋肉に作用して子宮を収縮させることにより、分娩を誘発したり、子宮の出血を止めたりする作用があります。 しかし、人工的に子宮を収縮する作用がある一方、子宮の収縮が強くなりすぎることなどの副作用・合併症が起こることがあります。...
Q アトニン―O®(オキシトシン)って?
Q&A アトニン―O®(オキシトシン)は、子宮を収縮する効果がある薬剤です。 この薬は、子宮の筋肉に作用して子宮を収縮させることにより、分娩を誘発したり子宮の出血を止めたりします。...