赤ちゃんが1分間に行う呼吸数は大人より多く、40~50回といわれています。大人は通常15~20回ぐらいですので、大人よりも呼吸が速いからといって心配する必要はありません。生まれたての赤ちゃんは口で呼吸をすることが上手ではありませんので、鼻だけで呼吸をしています。
また腹式呼吸で息をしていますので、お腹が上下しているのが赤ちゃんの正常な呼吸です。
鼻に分泌物が詰まったりすると、息が荒くなったり、ゼロゼロというような呼吸音が聞こえることがありますが、哺乳などによる分泌物の影響であれば一時的なものです。機嫌がよく、おっぱいがちゃんと飲めて問題がないことが多いです。
しかし、新生児で1分間に60回以上呼吸をしているときは、多呼吸と考えられます。また、ゼーゼーというような呼吸や顔色が悪く苦しそう、爪や唇が紫色になるとか、なにか
おかしいとと感じたらすぐに医師に相談する必要があります。
赤ちゃんの呼吸は眠っている時に止まっているように思える場合があります。10秒間隔程度で息をしていれば大丈夫ですが、無呼吸が10~20秒程度続く場合は無呼吸発作を起こしている可能性があり、呼吸機能の働きが未熟な、生まれたばかりの赤ちゃんは「乳幼児突然死症候群」のリスクに繋がる場合もありますので、早急に病院を受診して精密検査を受ける必要があります。
生まれたばかりの赤ちゃんがかかる呼吸器の病気でよく知られたものに「新生児一過性多呼吸」がありますこれは分娩時に肺の中に過剰な水分が残って一時的な呼吸困難が起こって、多呼吸が起こる病気ですが、肺の中の水分がなくなると症状は改善されます。ほとんどが一時的で2~3日以内に改善しますが、酸素投与による治療が必要になるケースもあります。
また「呼吸窮迫症候群」も生まれたばかりの赤ちゃんに起こる病気です。特に予定日より早く早産でうまれた赤ちゃんに多く見られます。肺の発達が未熟で呼吸がうまくできない状態になることを「新生児呼吸窮迫症候群」といいます。これは赤ちゃんの肺の成長がまだ不十分で、肺サーファクタント(肺胞の表面張力を減らして膨らみやすくする化学物質)が不足していることが原因で起こる病気です。特に1500g未満の極低出生体重児、32週未満の早産児、糖尿病母体児や帝王切開で生まれた赤ちゃんなどはリスクが高くなります。治療としては、酸素吸入や人工呼吸による換気補助をして、十分に換気ができている間にサーファクタンとの生成が始まれば4日程度で呼吸窮迫症候群は消失します。また直接的な治療法としてサーファクタント補充療法を行うこともあります。