赤ちゃんの頭の大きさに比べてお母さんの骨盤が小さく狭いため通過できないことをいいます。
赤ちゃんの頭は出産時には一時に変化します。これを応形機能といい、一般に児頭は骨盤軸の方向に延長し、これと直角の方向に短縮します。このような児頭の変形は、児頭の頭蓋骨の化骨が未完成で軟らかく骨縫合も離解して、各頭蓋骨が互いに移動し重なりあって、骨重積を形成するためです。出産時には赤ちゃんの頭が重なり合って小さくなるということです。
出産のときには、赤ちゃんだけではなくお母さんの骨盤も広がるため、経腟分娩が可能となります。しかし、赤ちゃんが大きく、骨盤を通過できなかったり、逆に赤ちゃんの大きさは普通でも、お母さんの骨盤が狭くて通過できないことがあります。これを「児頭骨盤不均衡」といいます
通常は妊婦検診で児頭骨盤不均衡が疑われたら、レントゲン撮影で赤ちゃんが通れるかどうかを判断します。骨盤の大きさと児頭のバランスが問題のため、児頭が骨盤を通過するのが難しく経腟分娩は不可能と診断されると予定帝王切開になります
また実際にお産が始まってからでないと分からないケースもあり、産婦人科医師や助産師が注意深く分娩の進行状況をみながら経腟分娩を試みますが、児頭が骨盤内に下がってこない場合は緊急帝王切開に切り替えることもあります。
児頭骨盤不均衡が疑われる主な条件は下記の通りです
- 胎児の頭が大きい(大横径が10㎝以上の場合):超音波(エコー)で確認します
- 母体身長が150㎝以下
- 妊娠36週以降、児頭の固定が見られなく、赤ちゃんが浮動をしている場合
- 子宮底長が36㎝以上の場合:超音波(エコー)で確認します
- 骨盤骨の変形
このような条件がある場合には、赤ちゃんが通りにくい可能性を考えて、いつ帝王切開が必要かを決めてゆくことになります。ただし、このような条件がある場合に、必ず帝王切開になるわけではなく、主治医と相談しながらお産を進めてゆく必要があります。