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Q 吸引分娩って?

2021年10月07日 | 判例・Q&A

Q&A

吸引分娩とは出産のときに赤ちゃんの頭に柔らかなカップを吸い当てて赤ちゃんを娩出する出産方法です。吸引分娩には、吸引カップという器具を用いますが、吸引カップには、金属製のカップとプラスチック製のソフトカップの2種類があり、それぞれに様々なサイズがあります。状況によってどのカップにするのかを医師が決め、これにチューブと吸引機を接続して使用します。現在の日本では、ソフトカップを使っているところがほとんどです。

吸引分娩は、お母さんが疲労などでお産が進まなくなったり、赤ちゃんの状態が悪くなった場合などで、緊急に娩出させる必要が生じたときに行われる器械分娩の一つの方法です。器械分娩には他に鉗子分娩がありますが、鉗子分娩は吸引分娩よりも難しく経験が必要だといわれており、現在ではあまり行われていません。吸引分娩などの器械分娩が適応になるのは①胎児機能不全(赤ちゃんの具合が悪い)②分娩第2期遷延または停止(子宮口全開大なのに分娩にならない)③母体適応(母体合併症を考慮して怒責を回避したい)場合など、安全に行歌目に要件が厳しく決まっています。最近は出産年齢の高齢化や、無痛分娩が増えてきたことなどによって分娩停止(分娩が途中ですすまずとまってしまうこと)の適応が増えてきています。

吸引分娩をするための条件としては、児頭骨盤不均衡がない、子宮口が全部開いている、破水している、児頭が十分に降下している、原則妊娠34週以降であるのすべてを満たしている必要があります。またガイドラインで「牽引は5回まで(滑脱含む)」「総牽引時間は20分以内」と取り決められています。それ以上の回数・時間続けることで赤ちゃんが苦しい状態になる可能性が高いためです。

吸引分娩の場合のリスクとしては、赤ちゃんの頭にカップを付けて引っ張るため、頭に血種(頭血種・帽状腱膜下血種)ができたり、頭蓋内出血が起こったりする可能性があること、また頭の形が変形してしまうことがあります。赤ちゃんに頭血種ができた場合は自然に消えることが多いのでほとんどの場合、経過観察となりますが、帽状腱膜下血種の場合は輸血などの処置が必要になることもあります。また頭蓋内出血は赤ちゃんの頭を引っ張る行為そのものによる影響ではなく、分娩が滞り、赤ちゃんが低酸素状態に陥ることによる合併症として生じると考えられています。

またお母さんには普通の分娩と比較して会陰の傷が大きくなり、産道裂傷や膣壁血種が起こる可能性があります。ただし、吸引分娩を行わないお産でも会陰裂傷が起こることが多くあり、それを防ぐために、あらかじめ会陰切開行うケースもあります。

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