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Q 赤ちゃんの人工呼吸管理って?

2021年10月13日 | 判例・Q&A

Q&A

赤ちゃんにとって出生は、人生最初で最大の危機といえます。それまで胎盤を通して、お母さんから受け取っていた酸素を、自分で呼吸することによって、酸素を自分自身で取り込まなければならなくなるからです。この呼吸(胎盤循環から肺循環へ)の切替がうまくできないと最悪の場合、死んでしまうことになります。生まれたばかりの赤ちゃんのうち10%は自発呼吸開始のために刺激を必要とし、3%は人工的なバッグマスクによる陽圧呼吸を必要とします。

2%の赤ちゃんは気管挿管による補助呼吸を必要とします。この補助呼吸を人工呼吸といいます。呼吸機能が未熟な赤ちゃんには、気管にチューブを挿入(気管挿管)したり、鼻マスクをしたりして呼吸をサポートする必要が生じます。

生まれたときの赤ちゃんの呼吸や循環状態が悪い場合、全身管理が必要になることもあります。特に早産の場合や、何らかの理由で仮死状態となり回復が思わしくない場合は、特に全身管理の必要性が増します。生まれた医療機関にNICU(新生児集中治療管理室)がない場合は、赤ちゃんの容態によっては、他の設備の整った高次医療機関に赤ちゃんだけ搬送され、手厚い治療が施されることもあります。

生まれたての赤ちゃんに必要な処置は、新生児蘇生として確立された方法があります。小児科医だけでなく、大抵の産婦人科医や助産師は新生児蘇生の講習を受けて最低限の新生児蘇生を行うよう訓練を受けています。人工呼吸の適応は、蘇生の初期処置後の無呼吸あるいは心拍数が100/分未満の場合とされており、出生から遅くとも60秒以内に人工呼吸が開始されることが求められています。赤ちゃんへの心臓マッサージも必要な場合や方法が定められています。特に、赤ちゃんに酸素が足りないのは危険な状態なので、赤ちゃんの酸素飽和度(SpO2)を生まれてすぐに測定し、その数値に応じてバッグマスク換気、気管挿管が必要かどうか判断する必要があります。

赤ちゃんの気道は大人と咽頭の位置が違います。それは赤ちゃんが授乳中でも呼吸を確保できるように鼻呼吸が主体なためで、それを可能とするために大人と比べると咽頭が頭側に位置しています。また呼吸器官の発達も未成熟なので、気管挿管の手技や酸素の投与量など、赤ちゃんの人工呼吸器での呼吸コントロールは細心の注意と管理が必要となります。

未熟児や新生児期の重篤な疾患により、新生児の約1.2%が人工呼吸を行っています

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