頸管無力症とは、妊娠中に赤ちゃんをしっかりと子宮の中に保持しておくための力が足りず、臨月を迎える前に子宮頸管(子宮の入り口)が開いてきてしまう状態を指します。頸管とは子宮頸管(子宮の入り口)部分のことです。通常、子宮頸管はしっかりと固く閉じていて、陣痛が始まるまで子宮内に赤ちゃんを留めています。
しかし、頸管無力症では胎児の発育により子宮内圧が上昇する妊娠中期に至ると、強い子宮収縮といった自覚症状がないにもかかわらず、子宮口が開大して子宮頸管が短縮し、流産や早産が引き起こされてしまいます。
具体的な原因は解明されていませんが、子宮頸管が開きやすい、子宮頚癌の治療のための円錐切除を受けた場合や子宮内容除去術などの手術・処置を受けた場合などで子宮頸管の組織が弱くなりおこると考えられています。
定期的な妊婦検診で診察すると赤ちゃんを包んでいる袋である胎胞(たいほう)が膣内まで出てきていたり、超音波検査で頸管の短縮(25mm未満)が見られたりすることで発見されます。短縮がみられた場合には妊娠継続のため、子宮頸管を縛る頸管縫縮術や膣内プロゲステロンの投与等の治療が行われます。
頚管無力症に自覚症状はありませんので、妊娠中期に受ける検診や実際に切迫早産が起こることで分かるケースが多くあります。無症状なため妊娠初期に予測し診断することは困難ですが、三回以上の流産経験や原因不明の早産歴や子宮頚管の手術の既往がある場合は、予め必ず産婦人科医に事前に伝えることで医師がエコーをする際、慎重に観察をすることができます。
子宮頚癌の治療歴や、過去の妊娠歴、中絶歴、早産・死産歴などが重要な情報になります。お母さんにとっては、つらい過去の情報であることが多いですが、安全にお産を迎えるためには、非常に重要な情報になります、妊婦健診の際には正しく伝えておく必要があります。