逆子とは、胎位の異常と分類されるもので、お腹の中で胎児の頭が上にある状態のことです。通常であれば、出産が近づくにつれて頭部が重くなるため、赤ちゃんの頭は子宮口のある下を向いた状態になります。子宮の縦軸と胎児の縦軸の位置関係を「胎位」といいます。一般的な胎位は頭位といい、頭が下を向いた体型となります。それに対して逆子とは赤ちゃんの頭が上に向いていて、子宮口に対して下半身を向けている状態です。それを「骨盤位」とか「臀位(でんい)」といいます。その他に赤ちゃんの頭が真横を向いた「横(おう)位(い)」や、斜め上または下を向いた「斜(しゃ)位(い)」などが、まれに見られます。
逆子をはじめとした胎位の異常は、妊婦健診で行われている超音波(エコー)検査によってわかります。超音波検査は子宮に超音波を当てて、赤ちゃんの様子を確認する検査方法で、赤ちゃんの体の向きや位置などの異常を調べるだけでなく、赤ちゃんの発育の経過や性別なども調べます。
一時的に赤ちゃんが逆子になっていても、自然に頭位に戻ることも多く、ほとんどのお母さんは分娩までに胎位が正常になっていることが多くあります。分娩時に逆子である確率は約2~5%ともいわれていて、逆子の診断は妊娠30~32週を目安に行われています。
逆子の原因は、お母さんの側と赤ちゃんの側の原因に分けられますが、原因がはっきりしないものもあります。
お母さん側の原因としては、お母さんの骨盤が小さい、子宮筋腫や骨盤の位置などの子宮に問題がある場合や、羊水が減少しているか過多になっている場合などが挙げられています。また赤ちゃんの側としては、成長に異常があったり、赤ちゃんが非常に大きい(妊娠糖尿病のお母さんの影響をうけている)、多胎妊娠であるなどが挙げられています。また、身長の低いお母さんは骨盤も小さいため、逆子になりやすい傾向にあります。
逆子であっても自覚症状はほとんどありませんが、妊娠後期になると胎動の位置でお母さん自身が気づくこともあります。
逆子になると分娩が困難になるので、正しい方向に戻すために、色々な矯正方法が取られます。よく行われるのは逆子体操と呼ばれる方法で、お尻を上げた状態で四つん這いになり、骨盤の位置を頭より高くする(胸膝法)や、仰向けになってブリッジのように骨盤を高く持ち上げる(ブリッジ法)が行われています。他に希望すれば、骨盤位外回転術が行われたりもしますが、人工的に赤ちゃんの方向を修正する方法なので、赤ちゃんが苦しい状態になって胎児心拍他低下したり、胎盤剥離などのが起こる可能性もあります。
逆子のまま出産するとお母さんの側と赤ちゃんの側の両方のリスクが大きいため、大抵の医療機関では自然分娩ではなく帝王切開による出産を推奨しています。