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Q 赤ちゃんの血糖値が低い(新生児低血糖症)?

2021年12月10日 | 判例・Q&A

Q&A

新生児低血糖とは生まれたばかりの赤ちゃんの血液中の糖分(ブドウ糖)が少なくなること(血糖値が低い状態)をいいます。正常な赤ちゃんは生まれた直後(生後1~2時間)には血糖値が下がり、その後、徐々に上昇して生後2~3日で安定するのが一般的です。このような出生直後に生理的な変化としてみられる血糖値の低下は、赤ちゃんが生まれたと同時に母体からのブドウ糖の供給がストップすることに関係しています。赤ちゃんは、お母さんのおなかにいる間は胎盤を通じてブドウ糖などの栄養分をもらっていますが、出生後は栄養分の供給がなくなるので一時的な血糖値の低下(一過性の低血糖症)が起こりやすいのです。また新生児低血糖はお母さんの血糖値が高い(糖尿病)など母体の状態が原因で発症することもあるので、予防のためには妊娠中にお母さんの血糖が高くないかを評価する必要があります。

新生児低血糖は①一過性低血糖と②持続性低血糖の二種類に分類されます。

  1. 一過性低血糖は極低出生体重の早期産児や胎盤機能不全による在胎不当過少児(SGA児)及び周産期仮死があった新生児には出生時のグリコーゲン貯蔵の欠乏がみられます。そのためグリコーゲンが消費されるときに低血糖が発生する可能性があります。また高インスリン血症は糖尿病母体児に多く見られ、低血糖の程度は母体糖尿病のコントロールの程度に反比例します。お母さんが糖尿病の場合、母体血中の血糖値が高いため赤ちゃんは高濃度のグルコースに曝されるため、赤ちゃんは高濃度のインスリンを産生します。臍帯が切られると、新生児へのグルコース供給は途絶えますが、インスリン産生を減らすのに時間がかかるために起こります。また生理的ストレスにさらされた在胎不当過少児にもよくみられますが、どちらの場合も高インスリン血症は通常一時的なものです。
  2. 持続性低血糖とは低血糖の状態が持続している場合や何度も低血糖を繰り返す場合のことをいいます。遺伝的な先天性高インスリン血症や内分泌疾患などが原因で起こります。また重度の胎児赤芽球症やベックウィズ・ウィーデマン症候群などが原因となっている場合もあり、早急に適切な治療が行われないと新生児低血糖症になったり、脳に何らかの障害が残ったりする可能性が否定できません。

新生児低血糖では、元気がない、振戦(震え)、無呼吸や多呼吸などの呼吸異常、活気がない、泣き声の異常(甲高い泣き方)、けいれん、頻脈、多汗、皮膚蒼白、チアノーゼ、おっぱいの飲みが悪いなどの症状が現れることがあります。明確な治療の基準は定められていませんが「血糖値<50㎎/dl」が治療を開始する一つの目安となっています。

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