産婦人科の医療ミスではないか、と思った時に産婦人科医を訴えたい、と考えて弁護士を探し始めるご両親が多いです。そんな時、医療ミスが専門だと謳う弁護士事務所の実力は、どんなところで判断すればよいでしょうか?
①「さ」産科診療ガイドラインの内容を正確に理解しているかどうか。
ご両親から分娩当時の状況を聞き、分娩監視装置を見れば、どのような問題が起こったのか、産科診療ガイドラインに照らして医療ミスかどうかがわかります。当時の状況と分娩監視装置の内容について、すぐに説明ができない弁護士さんは避けたほうが良いです。
②「ぶ」分娩監視装置が読めるかどうか。
分娩時に分娩監視装置を装着することが一般的になり、分娩トラブルでは分娩監視装置の胎児心拍数と子宮収縮(陣痛)の関係を見れば、医療ミスの可能性があるかどうか、問題点がわかるはずです。分娩監視装置の基本的読み方を知らない弁護士さんは避けたほうが良いです。
③「い」産婦人科医師の協力体制があるかどうか。
カルテを入手してから、分娩時の内容について説明できない弁護士さんは避けたほうが良いです。さらに危険なのは、カルテを入手してから協力医を「これから探す」という弁護士さんです。出産トラブル、赤ちゃんのトラブルなど分娩時の医療ミスを扱ったことのある弁護士であれば、産婦人科医師の協力はこれまでも必要になったはずです。産婦人科の協力医を「これから探す」と説明する弁護士さんは、これまで産婦人科の事件を扱ったことがあるかどうか疑わしいです。
④「て」産科医療補償制度の申請手続きで手数料を取るかどうか。
ご両親と小児科主治医の協力によって産科医療補償制度の申請手続きはご両親自身で出来ます。一般的に、小児科の主治医は産科医療補償制度に協力的なドクターが多く、ご両親と小児科ドクターによって申請手続きはできるはずです。産科医療保障の申請手続きに対して手数料・着手金・成功報酬を求める弁護士さんは、問題があるかもしれません。まずは、ご両親自身で申請手続きをされるようお勧めします。
⑤「ほ」原因分析報告書の読み方を知っているかどうか。
産科医療補償制度で保証金の支払いが認められると、脳性麻痺になった原因を分析し報告書が作成されます。家族の質問を求められることがあるので、すでに弁護士に相談している場合には、産科診療ガイドラインに沿った質問を考えてくれるかどうか、によって弁護士の実力がわかります。さらに、作成された原因分析報告書には、分娩当時の産科診療ガイドラインをもとにして「一般的である」「一般的ではない」「逸脱している」などの評価が記載されているはずです。その意味について、産科診療ガイドラインのどの頁の、どの項目に照らした評価なのか、弁護士さんに聞いてみてください。産婦人科事件の基本ですので、原因分析報告書の内容を適切に説明できない弁護士さんは避けたほうが良いです。
⑥「ご」ご両親の話を十分聞いてくれるか。
何より大切なことは、これまでつらい気持ちを抱えて誰にも相談できずに頑張ってこられたご両親に寄り添ってくれるかどうかだと思います。弁護士さんに依頼することは、ご両親やご家族にとってとても大きな決断だったと思います。カルテ調査、示談交渉、裁判と長い長い戦いをご両親とともに戦ってくれるかどうか。最終的にはその弁護士さんと何年もかかる戦いを戦えるかどうか、が重要になると思います。是非、複数の弁護士さんのお話を聞いてみてください。その弁護士が、産婦人科事件の難しさや大変さを理解しているかどうか、色々調べられたはずのご両親なら、話してみるだけで、信頼できるかどうか、わかるはずです。