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Q 示談金と産科医療補償制度で受け取った補償金の関係

2022年10月26日 | 判例・Q&A

Q&A

出産のときの医療ミスでは、産婦人科医に過失があったのか、なかったのか妊婦さんやご家族には判断できないことが多いです。お子さんが脳性麻痺になってしまうと産婦人科医を訴えたい、と思われるお気持ちは当然ですが、裁判は長くかかり勝てるかどうかわかりません。そのため重度脳性麻痺のお子さんとその家族の経済的負担を補償して、脳性麻痺発症の原因分析も行って再発防止を図るため産科医療補償制度が作られました。
産科医療補償制度の補償を受けられることが決まると、一時金として600万円、毎年120万円20才まで(2400万円)総額3000万円の補償を受けることができます。
では、後から産婦人科医師に責任があることがわかった場合、ご家族がそれまでに受け取った補償金はどうなるのでしょうか。

産科医療補償制度では、「産婦人科医や病院に損害賠償責任がある場合は、損害賠償責任に関する金額を、産婦人科医や病院が全額負担するという考え方」が基本になります(標準補償約款第8条、加入規約26条)。
そのため、損害賠償の金額が示談・訴訟(勝訴判決)で確定すると、産科医療補償制度の補償金と、賠償金の調整が行われます。

  1. お子さん・ご両親に支払われていた補償金は、損害賠償額に充当される。補償金は損害賠償額の一部が先に支払われた、という形になります。
    例えば、補償金としてお子さんが5才になるまで1200万円(一時金600万+600万円:120万円✕5年分)を受け取ったところで、1億円で示談または勝訴判決になった場合

    お子さん・ご両親に支払われていた補償金は、損害賠償額に充当される
  2. 分娩機関(産婦人科医・病院)が法律上の損害賠償責任を負担する場合には、産科医療補償医制度では免責、つまり支払わなくてよかった補償金を支払ったことになります。そのため、すでに支払った補償金を分娩機関(産婦人科医・病院)に返還請求します。
    分娩機関(産婦人科医・病院)が法律上の損害賠償責任を負担する場合
  3. 分娩機関は、病院や産婦人科医が加入している医師賠償責任保険から支払われる保険金で、「損害賠償金に充当された補償金」の相当額を産科医療保証責任保険に返還する。
    例えば、医師や病院が加入している保険会社は、1億円のうち,8800万円をご家族に支払い、1200万円相当を産科医療補償責任保険に返還することになる。
  4. 例えば勝訴判決や示談金額が、1500万円だった場合には、お子さんやご家族が受け取れる金額は300万円になる。

  5. 勝訴判決や示談金額が、補償金と同じ額か少ない場合、例えば1000万円だった場合には、お子さんやご家族が受け取れる金額は0万円になる。

  6. 参考文献:産科医療補償金制度の補償金と損害賠償金の調整などについて 上田茂(公益財団法人 日本医療機能評価機構 理事・産科医療補償制度事業管理者)判例タイムズNo.1418 2016.1

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