新着情報
日本の産婦人科は世界基準ではない

【医療専門】富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
出産のトラブル(赤ちゃんや妊婦さんの重篤な後遺症や死亡など)は当事務所にご相談ください。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、「これって本当に正しかったの?」「納得できないけど、どうしたらいいのか分からない」——そんな不安を抱えている方に、医学と法律の両方の視点から、安心できる一歩を踏み出していただけるようお手伝いします。
WHOでは、日本の産婦人科クリニックのような小規模施設での帝王切開(外科的処置)を勧めていないということをご存じですか?
「地域の産婦人科がなくなる」というテレビ報道番組を見るたびに思います。日本にある産婦人科クリニックは、世界標準ではなく、世界的に見れば極めて危険な医療として扱われているのだと。
WHOや国連関連機関(UNFPA, UNICEF)は母子保健サービスの施設を、3つのレベルに分類して、それぞれのレベルで提供すべき機能・人員・設備を定めています。
以下はMonitoring emergency obstetric careに示されたものです。
レベル1:基本的産科ケア施設(Basic Emergency Obstetric Care, BEmOC)
対象施設:小規模クリニック、診療所、助産所など
日本の産婦人科医が一人でいるようなクリニックはこれに当たります
提供できる医療:陣痛・分娩の管理、胎盤用手除去、子宮収縮薬の使用(オキシトシン等)、産後出血の初期対応と新生児の蘇生、基本的な抗菌薬の投与
(帝王切開や輸血などの外科的処置は不可だと考えられています)
※緊急事態に帝王切開をできない施設だからこそ、搬送するタイミングを早期に判断すべきだといわれています。
レベル2:包括的産科ケア施設(Comprehensive Emergency Obstetric Care, CEmOC)
対象施設:総合病院、地域拠点病院など100-300床の病院など
(中堅の総合病院で産婦人科医が複数名いることが前提になっています)
提供できる医療:レベル1のすべての処置に加えて、帝王切開、輸血、麻酔・外科対応(24時間体制)が求められています。
日本では、地域母子医療センターがこのレベルに該当します。
レベル3:高度専門施設(Referral/Teaching Hospital)
対象施設:NICU・ICU併設、周産期センター、大学病院などの24時間体制で高度な医療が実施できる施設
特徴:高リスク妊婦・多胎妊娠・胎児異常などにも対応可能であり、専門医・麻酔科医・新生児科医が常駐していることが前提
日本では、総合母子医療センターがこのレベルに該当します。
この世界基準によると
産婦人科クリニックが帝王切開を実施している日本の現状は危険なものであって推奨されていません。クリニックが帝王切開や外科的処置を含めてお産を担っていることは、安全な母子保健のためには許されないことになっています。
これまでの日本では、産婦人科医の先生方は、母体死亡や脳性麻痺の発生率が低いことを日本の誇りだと考えて来られたのだと思います。しかし、医師個人のプライベートな時間をなげうって、24時間拘束される状況で何とか維持しているような体制では、安全なお産を語れないところまで、日本の現状は来ているように思います。
「便利なお産」と「安全なお産」が両立しえなくなってきているという現実を、そろそろ一人一人が、自分のこととして考える時期に来ているような気がします。
安全な無痛分娩への祈り
東京では2024年の時点で、すでに無痛分娩が30%以上になってきました。
無痛分娩は通常のお産以上に安全に行うには人手が必要です。
しかし実際には体制の充実をしないまま「無痛出来ます」と謳うクリニックが多いことに危機感を感じます。
日本のクリニックによるお産は、そもそも世界基準からみれば安全ではない。そんなクリニックでさらに人手がかかる無痛分娩が増えていく現状に「どうか事故が起こりませんように」と祈るばかりです。
この記事を書いた人(プロフィール)
富永愛法律事務所医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)
弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
