原因分析報告書とは - 産科医療LABO
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原因分析報告書とは

産科医療補償制度の運営組織内にある、原因分析委員会よって作成される、脳性まひの原因などを分析した報告書です。補償を受ける全てのお子さんの事例が原因分析の対象となります。原因分析委員会は、産科医や小児科医、弁護士などから構成されています。公平かつ中立的な立場で原因分析が行われ、なぜ起こったかを明らかにし、同じような事例の再発防止のために役立てられます。

原因分析・再発防止の仕組み

●原因分析・再発防止は、保険者から支給される掛金等で運営されています。

真実を知るために大切なことが
書いてある

産科医療補償制度の補償対象と認定され、経済的な支援が受けられることは、ご家族にとって重要なことだと思います。また、お子さまがなぜ脳性まひとなったのか、「真実を知りたい」と思われているご家族も多くいらっしゃるのではないかと思います。
原因分析報告書には、出産の現場で行われた医療が適切だったのかを知るために、大切なことが書かれています。しかし、実際にはご家族が報告書を読んでも、医学用語が多く、内容も難しくて、よくわからないままになっているのが現状です。
私たちは、原因分析報告書に何が書いてあるのか、読み方や意味をお伝えすることで、ご家族の真実を知る第一歩になればと考えています。

原因分析報告書に記載されていること

1

事例の
基本情報

2

脳性まひ
発症の原因

3

臨床経過に
関する
医学的評価

4

今後の産科医療の
質の向上のために
検討すべき事項

5

事例の経過

原因分析された個々の事例情報を整理・蓄積し、再発防止委員会において、複数の事例から見えてきた知見等による再発防止策等を提言した「再発防止に関する報告書」などを取りまとめます。これらの情報を国民や分娩機関、関係学会・団体、行政機関等に広く一般的に提供することにより、同じような事例の再発防止および産科医療の質の向上を目指しています。
原因分析報告書はもし病院側に過失があった場合に、重要な調査の手がかりになります。

原因分析報告書の読み方・
医学的評価の意味

原因分析報告書は、本来は、医療機関の責任追及を目的とするのではなく、「なぜ起こったか」などの原因を明らかにするとともに、同じような事例の再発防止を提言するためのものとされています。このことから、報告書の「臨床経過に関する医学的評価」には、医療機関の対応に問題があった場合でも、過失があるというような記載はありません。そのため、保護者の方々にはどう解釈してよいかわからないことも多いと思います。
原因分析報告書は実際に行われた医療行為が産婦人科診療ガイドライン等に沿ったものかどうかによって評価をし、「臨床経過に関する医学的評価」として記載されます。統一的な評価にするために6つの表現パターンで分けられています。
その評価に用いる表現は次の通りです。

評価に用いる表現

適確である

正確で迅速な対応である。

一般的である

「ガイドライン」で推奨される診療行為等である、または「ガイドライン」に記載されてはいないが、実地臨床の視点から広く行われている診療行為等である。

選択肢のひとつである

他の選択肢も考えられるが、実地臨床の視点から選択肢としてありうると考えられる場合、専門家によって意見が分かれる場合、または「産婦人科診療ガイドライン」の推奨レベル C(「胎児心拍数陣痛図の評価法とその対応」に関する評価を除く)で示された診療行為等に沿っていない場合に、「選択肢のひとつである」とする。

一般的ではない /
基準を満たしていない

「産婦人科診療ガイドライン」の推奨レベル A・B もしくは「助産ガイドライン」で示された診療行為等が行われていない。または「ガイドライン」に記載されていない診療行為等であるが、実地臨床の視点から多くの産科医等によって広く行われている診療行為等ではない。ただし、前述のいずれにおいても、不適切、または誤った診療行為等であるという意味ではない。
※評価の対象となる診療行為等について「ガイドライン」で基準が示されている場合は「基準を満たしていない」を用い、それ以外の場合は「一般的ではない」を用いる。

医学的妥当性がない

「ガイドライン」で示された診療行為等から著しく乖離している、または「ガイドライン」に記載されていない診療行為等であるが、実地臨床の視点から選択されることのない診療行為等であり、いずれも不適切と考えられる診療行為等である。

評価できない

診療録等に必要な情報がなく評価ができない場合等に用いる。

  • ※1「胎児心拍数陣痛図の評価法とその対応」に関する評価については、「産婦人科診療ガイドライン」の推奨レベルCであっても、事案毎の状況に応じて「一般的ではない」または「医学的妥当性がない」を適宜、該当させる。
  • ※2 新生児に対する処置を「新生児蘇生法テキスト」に照らして評価する場合、本テキストの内容が「記載内容に則りできることを行う」の趣旨であること、および本テキストには推奨レベルがないことを踏まえ、事案毎の状況に応じて評価する。

弁護士として分娩機関の責任を追求する立場から見ると、

一般的ではない /
基準を満たしていない

と表現された場合は
つまり

標準的な医療を
行なっていない

医学的妥当性がない
と表現された場合は
つまり

標準的な医療から大きく
異なる問題のある対応

と考えることができ、法律上の『過失』があったと判断できるケースがあります。
原因分析報告書に上記のような記述があり、「もしかして、問題があったのではないか?」と感じることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

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