分娩時に必要な帝王切開を実施せず脳性麻痺が残ってしまったことについて1億3000万円の和解が成立したケース - 産科医療LABO
産科医療LABOについて
妊娠・出産のトラブル
相談の流れ・費用
instagram
youtube

解決事例

2021.07.19

分娩時に必要な帝王切開を実施せず脳性麻痺が残ってしまったことについて1億3000万円の和解が成立したケース

医療ミスの事案概要

中国地方の私立総合病院で初産婦さんが出産されたときのトラブルです。分娩の際に、胎児心拍数陣痛図(CTG)から胎児が低酸素(息苦しい状態)を示す波形が継続していたにもかかわらず放置され医師の帝王切開が遅れたことで娩出されたお子さんに脳性麻痺の後遺症が残ってしまった事案です。

法律相談までの経緯・検討内容

別の弁護士が担当した第一審(地方裁判所)では請求の一部しか認められない判決だったため、新しく着任した弁護士と共に当事務所にご相談がありました。

当事務所にて、産婦人科医師と共に医療記録を再検討した結果、地方裁判所での判決では医学的な問題点を十分検討されていないと考えられました。そのため、高等裁判所での控訴(裁判)手続きに協力することになりました。

控訴審では医学的問題点を指摘

高等裁判所での裁判では、病院側は地方裁判所での主張を繰り返し、新たな協力医の意見書も提出されましたが、こちらからは医学的問題点を指摘した主張書面、新たに20件以上の医学文献、新たな産婦人科医の意見書を複数提出するなどの主張・立証活動を行ないました。

その結果、高等裁判所では、地方裁判所の判決を大きく上回る、約1億3000万円(産科医療補償制度で支払われた分を含む)の請求が認められることになりました。

富永弁護士のコメント

このケースでは、地方裁判所の裁判では別の弁護士が担当しておられ、残念ながら請求の一部しか認められない判決内容だったことから、当事務所で相談を受けることになりました。

通常、医療訴訟においては、地方裁判所での訴訟活動が非常に重要です。しかし、地方裁判所での訴訟手続きで十分な医学文献や意見書が提出されていない場合には、高等裁判所での訴訟手続きを経て、高等裁判所で逆転判決に至ることもあります。本来であれば、地方裁判所での訴訟提起前から協力医とともに十分な検討を行っておけば地方裁判所での判決も違う結果だったのではと感じたケースでした。

この記事を書いた人(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。

相談のお申し込み