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【連載】ファーストクライ第二話を見て

【医療専門】富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
出産のトラブル(赤ちゃんや妊婦さんの重篤な後遺症や死亡など)は当事務所にご相談ください。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、「これって本当に正しかったの?」「納得できないけど、どうしたらいいのか分からない」——そんな不安を抱えている方に、医学と法律の両方の視点から、安心できる一歩を踏み出していただけるようお手伝いします。
ファーストクライ 第二話 「蘇る過去、それぞれの覚悟」
ワクワクしながら迎えた第二話。第一話ほどのスピード感は感じられなかったのが残念ですが・・・
話題は、女子高生の妊娠と妊婦さんの脾動脈瘤破裂。
若年妊娠、望まない妊娠
欲をいえば、若年妊娠の問題を扱う以上、きちんと「モーニング・アフター・ピル」の話題を盛り込んでほしかったと思いました。
何十年も前の「中学生日記」時代と変わらない筋書きが少し残念でした。
モーニング・アフター・ピルは、性行為から72時間以内に内服することで妊娠を回避できる薬(回避率は84%)です。
欧米と同じように、やっと産婦人科の受診なしでの販売が認められました。日本では、産婦人科と連携しなければならないという限界つきですが・・・
それなのに実際には、まだまだ中学生や高校生にその情報が届いていません。
ドラマを見ているはずの中学生や高校生、望まない妊娠を回避したいと思っている女性たちに、今の、正しい情報を届けてほしかったです。
医師達の猛烈な反対を、若い方々の力で押し切り、10年以上の検討を経て、やっと一般薬局で販売することが認められたことも、すこしくらいは社会的な視点から話題にしてくれるんじゃないかな・・・と期待しすぎてしまいました。
妊婦さんの脾動脈瘤(ひどうみゃくりゅう)破裂
もう一つの話題は、まれな脾動脈瘤破裂。
脾動脈瘤は脾動脈という、脾臓に流れる動脈にできた瘤(コブ)のことです。
実は、脾動脈瘤の破裂は極めて致死率が高い病気として有名です。妊娠中の妊婦さんに出来たときには、破裂してしまうリスクがあります。母子ともに救命できたケースの報告は日本でもありますが、これまで妊婦死亡率70%以上、おなかの赤ちゃんの死亡率は95%に至るともいわれています。
なぜ、そんなに高い致死率になるのかというと、脾動脈瘤は基本的に何の症状もないので気づかれないまま妊娠し出産を迎え、母体が急変した時に脾動脈瘤の破裂であることに気づかなければ大量出血で手遅れになってしまうからです。
脾動脈(ひどうみゃく)という動脈は、そもそも、あまり聞きなじみがないものかもしれません。
肝臓と反対側の左上腹部にある脾臓に流れこむ動脈で、実は結構、しっかりした動脈です。
脾臓って何をしている臓器?と思うかもしれませんが、リンパ節など免疫にかかわる臓器の親玉だといわれています。脳や腎臓ほどではありませんが、血流は豊富な臓器です。
脾動脈瘤は、症状がない間はたまたま受けたCT検査で発見されることもあります。大きさが小さいものは、治療は不要ですが、急激に大きくなってきたときには治療を要するといわれています。
当事務所でも妊婦さんではありませんが、脾動脈瘤についてのご相談を受けたことがあります。治療を受ける必要がない脾動脈瘤にカテーテル治療を行ったために無症状だったのに治療により亡くなったケースでした。
あまり聞きなじみがない動脈瘤だったため医師の説明を鵜呑みにしてしまったケースでした。
今回の話題は、妊婦さんにこの脾動脈瘤が出来てしまったという話題。発見されていつ破裂することになるのか、ハラハラしました。男性と違って、女性の脾動脈瘤は、特に分娩中に破裂するリスクがあるといわれていて、「極めて予後が悪い」つまり致死率が高い危険な病気です。
患者さんは「左上腹部(脇腹あたり)にプツッという音と共に、突然の激しい痛みが起こる」ことで症状を自覚するといわれています。動脈が破裂するときに音がする・・・なんて考えただけでも恐ろしいですが、「プツッと音がする」という報告は、複数ありますので、本当の話のようです。
出血の部位である脾動脈があるのがお腹ではなく、背中の後腹膜というスペースに近いため、最初は後腹膜に血が広がり、一旦止まるものの、その後に再び大出血の波が来て致命的になる、という2回に分けて大出血がおこるDouble rupture phenomenonという状況になることも特徴的といわれています。
つまり、一旦止血出来たからといって安心してしまうと妊婦さんが亡くなってしまう、という怖い病気です。
妊娠中の脾動脈瘤破裂の特徴としては、何人も出産している(4、5人)多産の妊婦さんに多く、陣痛が来た時や分娩中に破裂しやすく、お産の後に破裂することもあるといわれています。
なぜ妊婦さんに脾動脈瘤が出来るのかはまだはっきりしていませんが、動脈の壁を作っている構造(内壁弾性板)の構造が一部ゆるみ、妊娠に伴って妊婦さんには平常時よりも血液の量が多くなり、肝臓に流れる門脈に流れるはずの血流が、脾動脈に流れることでコブができてしまうことなどが考えられています。
左上のわき腹からお腹にかけて急激に痛みがでるため、常位胎盤早期剥離や、子宮破裂ではないかと思われてしまうことも多いようです。
ドラマでは30週になっているのだから先に赤ちゃんを帝王切開で出すでしょ!?と突っ込んでしまいましたが、そこはドラマ。
次回予告に無痛分娩のワードも出てきたので、ドクター・ジャスティスが何をやらかしてくれるのか?麻酔科ドクターから目が離せません。
\自分の出産は問題なかった?の疑問を一緒に考えませんか/
この記事を書いた人(プロフィール)
富永愛法律事務所医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)
弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
