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【連載】ファーストクライ第五話を見て

【医療専門】富永愛法律事務所 医師・弁護士 富永 愛 です。
出産のトラブル(赤ちゃんや妊婦さんの重篤な後遺症や死亡など)は当事務所にご相談ください。
実際に産婦人科の医療現場を経験した医師として、「これって本当に正しかったの?」「納得できないけど、どうしたらいいのか分からない」——そんな不安を抱えている方に、医学と法律の両方の視点から、安心できる一歩を踏み出していただけるようお手伝いします。
ファーストクライ 第五話 「セレブ病院で集団感染?!孤立する妊婦を救え」
緊急事態として起こった院内感染!新型インフルエンザの院内感染が妊婦たちへ猛威を振るう!という設定には、新型コロナウイルス感染症が流行したときの怖さを思い出します。
自分自身の話になりますが、新型コロナウイルス感染症になる数か月前。私は外国からのセレブ患者さんが不妊治療や受精卵凍結保存目的でやってくるようなクリニックで、アルバイトをしていました。そんなときに、自分自身がインフルエンザかと思う急激な高熱と体の震えで10日間程、寝込みました。家族もろとも同じ症状で順番に寝込みましたが・・・その後に、横浜に寄港した豪華客船が問題になってきました。ああ、これは新型コロナウイルス感染症だったかと。
結局のところ、外国から来たセレブたちから一足先にウイルスを貰った可能性が高かったですが、当時は、誰にも言えない雰囲気でした。今回のドラマと違うのは、当時私が担当したセレブ患者は日本人ではなく、外国から日本での凍結をしたいとやってきたアジアの方々でした。今から何年も前ですが、既に、日本がアジアの中で貧しい国になってきていることを実感しました。
ドラマでは、感染源が誰かが特定されていますが、そこは感染源を探すことで安心してしまうという視聴者向けのサービスかもしれません。特定して「ばい菌扱い」みたいな感じにはしないでほしかったところです。ドラマですから、そこは、見ている人の安心と歌舞伎町で働く彼女ではない、ということにしなければならないストーリーだから仕方がないですね。
うまい手術の術野には、実は音はいらない
もう一つ、ドラマの主題と離れてしまいますが、手術の現場は同じ手の動きをみんなが一緒に見つめ、それほど言葉を発さず極論を言えば音がなくても、息がぴったり重なるということは実は「あるある」です。
あの音のない手術のシーン、ドラマを見ている方は「そんな訳ないし」と思われるような気がしたので解説を。
例えば、イメージするのは自動車教習所の教官とドライバー。(最近は教官が隣の助手席に座らないモニター管理の自動車教習所が人気らしいですが)安全な運転であれば、横に座る教官は何も言わずに黙っていても大丈夫。運転手と同じ方向を見つめ、同じミラーを見て、発言不要です。実は、危ない!というときだけ発言する、うまい手術はあんな感じなのです。
ロボット手術も、内視鏡手術も、実は「音」のない二次元の世界。
カルテ開示されたビデオ動画のほとんどは音のない世界です。手術では、その画面を皆で共有しながら手術をしているので音がなくても術者が何をしようとしているのか、器具の動きでわかるのです。
手術に、音は、元々いらない、と言った方がいいかもしれません。助手が発言するのは、例えば、同じ術野を見ているはずなのに、大事なものが見えていない人に注意するとき。
「そこ危ないからストップ!」というときの方が圧倒的に多い。声や音は、手術の指導のために必要なのです。うまい手術の術野には実は音はいらない。
あとは、術者しか見えない奥の方の術野とか、術者たちだけが顕微鏡を見ているとか、術野が見えていない看護師さんに器械を出してもらうときにも「メス」とか「ペアン」とか「モスキート」(蚊、という意味ですが、小さな蚊のような器具のことです)等と声をかける必要があります。しかし、オペ看護師さん達もベテランになると、実はメスとか言う前に道具が手の上に乗ってくる。それが理想です。なぜなら、同じ術野を見ていれば、ドクターが必要と思っているものが自然にわかる・・・そんなプロ集団で行う手術なら、術野では音すら要らないかもしれません。実際は、指導医が研修医に色々な話をしながら手術をするし、そこで経験豊富な先生の薫陶を受けられるのですが。
本題から逸れてしまいましたが、音のない静かな美しい手術のシーンを見て、無駄のない綺麗な術野を思い出してしまいました・・・
次回
「頭痛」が妊娠高血圧症候群か脳出血か、次の展開が気になります。心停止してしまったお母さんから生まれた命は、どういうストーリーになっていくのでしょう・・・ついにドラマでも辛い現実が突きつけられるお話になりそうな予感がします。
\自分の出産は問題なかった?の疑問を一緒に考えませんか/
この記事を書いた人(プロフィール)
富永愛法律事務所医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)
弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
